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2009年2月 1日 (日)

インドシナ帰りのエクター

102Konica Hexar RF + Ektar47/2 + RVP AE開放

ミリタリーカードン用のエクター47mmf2です。47mmという中途半端な焦点距離は何故なのか?レチナにも採用されており、これは戦後疲弊しまくっていたドイツ製のレンズが入手できなかったので、カードン用を流用したと言われています。しかしながら他のクセノンやヘリゴンも50mmと表記されているけれど、実際の焦点距離は47mmらしいのです。となるとカードン用を流用したのではなくて、レチナ用をカードンに流用したんでしょうか。良く分かりません。鶏が先か卵が先かといった話になって来そうです。

ところでこの手元のレンズですが、2004年にベトナム旅行へ行った際に、サイゴン川に程近い、サイゴン市内の路地の薄暗い通路の先にある、ガラクタが詰まった黴臭いカメラ店で発掘したのでした。店内にはお世辞にも綺麗とはいえないカメラ達が所狭しと陳列されています。やはり共産圏だけあってロシア製のカメラが多くを占めていますが、日本製のRF機やフランス製のカメラもありました。一応、高そうなカメラはガラスのショーケースに入っていますが、その他のカメラは木製の棚に詰め込まれています。さらにジャンク品は床に置かれたダンボールに無造作に放り込まれています。ちょうどこんな感じでした。(画像はイメージです。笑)

R0012883

その時です。
頭の中の中古カメラセンサーのメーターが振り切れ、アドレナインが脳内を駆け巡り、脇を嫌な汗が流れました。
「えっ...うっ」
あやうくトリップして手を出そうでしたが、ここは松屋の中古カメラ市初日ではありません。ライバルはいません。敵は店主のみです。
そこでさらに旧式中古カメラセンサーアイが、店主の目に留まらぬよう1/1000secの速さでダンボール箱の中を再度スキャンします。そして何も見なかったかの如く、ガラスケースの中のレオタックスを震える指で指差し、からからに乾いた口が「ハウマッチ、ディス?」と開きました。それを聞いた店主がレオタックスをケースから出してくれ、「どうだ綺麗だろ」みたいな事を何語かでしゃべっています。私も適当に「おー」とか言って話を合わせていますが、会話は完全に上の空です。恐らく2m位上空にいました。ひとしきり興味も無いレオタックスを弄くり倒した後に、さもついでにといった感じでジャンクダンボールの中を指差します。「ショウミーディス」店主は「どうぞ」と言って見せてくれます。私は最初は横のジャンクを弄りながら価格を聞きます。いくらと言ったかは覚えてません。そしていよいよ中央のFOCAに手を伸ばしました。そしてわざとらしく「うわっ汚っ」と言って顔をしかめます。弄りながら巻上げをさわって、壊れている事を店主に分かる様に確認します。「ぶろーくん」とかなんとか。レンズは決して見ません。見れません。そして深呼吸を密かに行った上で、冷静を装って聞きます。「ハウマッチ、ディス?...」「...ダラー」
帰ってきた回答は100ドル位だったと思います。ちょっと高いなとか返しながら、内心「めっちゃ安いやん」とか思っても顔には出さずに、他のカメラを何台か適当に見せてもらい、ジャンクを何台かセレクトした後で、ついでといった感じで「これも...」と言ってレンズ付きのFOCAも包んでもらって店を出ました。店主に適当に礼を言い、握手をしてそそくさと店を後にしました。その後はまっすぐホテルに戻り、部屋に入って歓喜の雄叫びを挙げました。「いやっほう!」

この写真がその時のエクターで撮影した物です。かなり酷使されていたらしく、擦り傷があり、また亜熱帯地方にあった為か曇りがありましたので、全体的にコントラストが低く、もやっとしています。買った当初はこれが気に入らなくて、試写だけして放ってました。いつか研磨してやると思っていたのですが、久々に連れ出してみると、これはこれでいいのではないでしょうか。優しいフレアと綺麗に繋がるアウトフォーカス。ちょっと見直しました。

ここからは想像の話なのですが、このレンズは米軍で実戦に使用されていたものではないかと思うのです。場所がインドシナで、フィルター無しで酷使されていたようですし、フォーカシングギアもミリタリー仕様ですしね。まあ最もベトナム時代まで米軍がカードンを使用していたのかは疑問なんですが...
また、ボディのPF2ですが、これもフランス軍が使用していた物ではないのかと。年代的にはおかしくないんですよね。でもこのKodakの銘板が意味不明です。店主もこれを見てエクターを付けたようなんですが、規格が異なる為、途中までしか入ってませんでした。だからジャンクだったのでしょう。

どういう運命を辿ったにせよ、このレンズは戦争とは無縁のこの国で、どうでもいい平和な物を撮らされています(笑)
でもこれはこれで最高の贅沢なのではないかと考えています。

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コメント

いい雰囲気でてますね~~。
インドシナでの写真かと思いました。

これが大阪に来られた際に話に出てた購入秘話の
カメラですね!!
そりゃ、さぞ、心臓ばくばくしてたことでしょう。
横にいて、ちゃちゃ入れなくて良かった。
しかし、皆さんの中古カメラを安く買うテクニック?は
非常に勉強になります。
本命は後に、まずは興味のないものから・・・ですね。

投稿: tora | 2009年2月 2日 (月) 07時35分

これはこれは・・
しかしこれはミリタリーではなくシビリアン用ですね。
フォーカシングギアが上に来ている。

それにしてもベトナムはサイゴンなんて刺激的ですね。
旧名をフエといった、ベトナム戦争時からの首都で激戦地。
私も是非行ってみたい国です。
この間の大阪熊野街道の時には聞かなかったなぁ
エクター好きの私に話して悔しがらせるのに気を使ってくれた?
それに500ELまで・・ハッセル使うにはいい選択かも?

次はどんな手を見せてくれるのかな?楽しみです。

投稿: yasu | 2009年2月 2日 (月) 08時04分

雨上がりのたそがれを過ぎたころあいのような??
危うげな僅かなひかりを、開放でもしっかりと捕らえて表現していますね
カードンエクター恐るべし。
レチナで我慢しているのに、なんでこんなものを見せ付けてくれるのでしょう(^^)

およそ中古カメラ濃度の薄そうな場所でこんな邂逅があるなんて、、、
わたしゃ夢では良くあるのですが醒めればまぼろし

ああうらやましい

フランスからアメリカなんて、世相を反映しすぎです
背景を持たずにカメラ一つで名を売ろうとわたってきた若人たちの、夢のかけらなのでしょう

投稿: ミモパワーOM-1 | 2009年2月 2日 (月) 12時44分

toraさん、こんばんは
このテクはあくまで店主がその価値に気付いていない場合に限ります(足元見られますからね)。しかしカメラ市初日などは戦争ですので、手を出した物を、決してワゴンに戻してはいけません(笑)空いている時は、ちゃちゃ入れながら値切るのが一番いいですね。

投稿: ろばーと | 2009年2月 2日 (月) 20時57分

yasuさん、こんばんは
これ、本来入らないFOCAに入れているので、途中で止まってるんです。ライカではちゃんと下に来ます。
サイゴン楽しいですよ、飯も旨いしね。いろいろ買って来たけど、残ったのはこれだけです。
エクターの話は一昨年の事です。toraさん良く覚えていたなぁ。
500ELは今すごく安いですね。レンズより安い。

次は何ネタにしようかな?

投稿: ろばーと | 2009年2月 2日 (月) 21時06分

ミモパワーOM-1さん、こんばんは
これ多分フレアです...曇りもあるかな?
レチナとレンズは同一だと思います。カードンの方がボディ選べるので、いいかも知れません。でも普通に買うと高いんですよね。

夢で中古カメラ買うなんて、相当重病ですね(笑)私はまだ買った事はありません。撮ってる夢は良く見ますが...

そうかも知れません、日本からも多くの若者が夢を追いかけた様に、他の国々でも同じ志の若者がいたのかな。そういえばキャパの最後もインドシナでしたね。

投稿: ろばーと | 2009年2月 2日 (月) 21時17分

はじめまして。
ジャンク箱の中からLマウントのエクターですか。そんなことがあるんですね。それにしてもフォカにねじ込んであるとは・・・。私もこんな掘り出し物に出会ってみたいものです。

投稿: イグレク | 2009年2月 5日 (木) 19時47分

イグレクさん、初めまして
これはびっくりしました。これだからカメラ店パトロールは止められません(笑)
ブログ拝見させて頂きました。かなり濃い内容ですね、早速ブックマーク登録しました。
また遊びに来てくださいね。

投稿: ろばーと | 2009年2月 5日 (木) 21時59分

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